「今月の写真」集 2010年度

2010年 4月から2011年 3月にかけて本会ホームページの「今月の写真」欄に掲載していた写真をご紹介します。

目次

2011年度 ■ 4月 □ 5月 □ 6月 ■ 7月

2010年度 □ 4月 □ 5月 ■ 6月 □ 7月 □ 8月 ■ 9月 ■10月 □11月 □12月 2011年 □ 1月 □ 2月 ■ 3月

2009年度 □ 4月 □ 5月 □ 6月 □ 7月 □ 8月 ■ 9月 ■10月 ■11月 □12月 2010年 □ 1月 □ 2月 ■ 3月

2008年度 ■ 4月 ■ 5月 ■ 6月 ■ 7月 ■ 8月 ■ 9月 □10月 ■11月 ■12月 2009年 ■ 1月 □ 2月 ■ 3月

◇ 掲載作品募集 ◇ ご利用上の注意

■ 3月:季節の変化を感じに、歩いて出かけてみよう

3月11日の東日本大震災、12日未明の新潟県中越地震、およびその二次被害により被災された皆様にお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧・復興を祈念しております。

季節は巡り、今年も暖かくなってきました。ここ川崎市周辺では、ヒートアイランドや地球温暖化などの影響もあってか、桜の開花が年々早くなっていますが、今年は昨年までに比べて桜の開花が遅めになっているようです。市内を自転車で走りながら桜の木を見ていても、開花は4月にずれ込みそうな様子です。

さて、昨年の春に撮影した宿河原の二ヶ領用水沿いの桜並木の様子をご紹介します。2008年には舟島鉄橋の「桜のトンネル」を掲載しましたが、今回は八幡踏切近くで撮った一枚を(写真は2010年4月に撮影したもの)。線路沿いには近隣住民の皆さんが管理されている花壇などもあり、歩く人を楽しませてくれます。 ここ宿河原の二ヶ領用水沿いでは、住宅地とその真ん中をゆっくり流れる二ヶ領用水、そして時々走り抜ける南武線電車が、親しみやすい街の風景を作っています。

沿川住民の方を中心とする保存会の皆さんが手入れされ、また道が狭いため通り抜けるクルマがなく安心して歩けることも魅力になっており、今では毎年春になると多くの人が散策に訪れ賑わう、桜の名所になっています。 JR南武線の宿河原駅で降り、商店街を郵便局のある方へ歩いてすぐ。または小田急線の登戸駅から多摩川方面へ歩いても15分ほどです。川沿いを歩いて久地駅まで出られます。

自転車も通れますが、人出が多いのでゆっくり走ってください。途中押して歩く所もありますが、宿河原のふるさと館から久地円筒分水、溝口の枝垂れ桜並木、中原の花桃並木、今井の桜並木、さらに小杉駅近くを抜けて渋川沿いの桜並木へと、この季節はとても賑やかですので、自転車で訪れる方はもっと先まで走ってみるのも良いかもしれません。

なお、4月3日に予定されていた宿河原堤桜保存会さんの「第37回桜まつり」は、震災に弔意を表し中止が決定されたとのことです。ご注意ください。 今年はお花見自粛という方もおられるかもしれませんが、宴会騒ぎはさておき、近隣を歩いて季節を感じるのは大切なことだと思います。電車で、または自転車で、近隣へ散策にお出かけになってみてはいかがでしょうか。
/撮影・文:井坂

(事務局注:本稿は3月下旬掲載予定でしたが、事務局の多忙で更新が遅くなりましたことお詫びいたします。)

掲載期間
4月06日 〜 4月25日



(▽写真2)
Creative Commons License by-sa 2.1 Japan. © 2011 ISAKA Yoji
本作品は Creative Commons Attribution-Share Alike 2.1 Japan の下で二次利用が可能です。

□ 2月

休  載

□ 1月

休  載

□ 12月

休  載

□ 11月

休  載

■ 10月:乗る人が笑顔になる『スマイルタクシー』

10月24日、東京都小平市で開催された「NPOフェスタin元気村2010」会場にて、立川市を中心に運行されている自転車タクシースマイルタクシー 2台を招いての試乗会が開催されました。

これは、小平市を中心に活動されている市民活動団体・自転車スイスイさんの呼びかけで行われたもので、その目立つ様子もさることながら、乗客の笑顔にも惹かれてひっきりなしにお客さんが訪れており、当日だけで200名以上もの方が乗車を体験されたそうです。

この自転車タクシー、自動車に比べて格段に環境負荷が低いことはもちろんですが、当日拝見して感じたことは、乗車された方がみな自然と笑顔になっていたこと。これは一風変わったな乗り物の楽しさもあるでしょうが、開放的で、ゆっくり走ることで、まちとの距離感が近く、街(会場)の雰囲気を楽しめることも、「スマイルタクシー」の魅力なのではと思いました。

また、スマイルタクシーを運営されているNPOの方にうかがったところ、日頃はなかなか地域とのつながりが持てないご高齢世帯とまちをつなぐ、商店街と人をつなぐ、といったように、コミュニティを仲介するような役割を担っているのだそうです。

歩くのに近い速度、まちと近い距離感、そして人同士のつながり。やもすれば、これまでは排除されてきた要素が、この自転車タクシーの売りになっていた様子からは、時代の変化をも感じさせられます。人と環境にやさしい交通手段としてはもちろん、まちの機能としても、自転車タクシーが担う役割は大きそうです。

なお、当日の様子はスマイルタクシーさんのブログにも報告が載っていますので、ご覧ください。
/撮影・文:井坂

掲載期間
10月28日 〜 4月06日



(▽写真2)

(▽写真3)
Creative Commons License by-sa 2.1 Japan. © 2010 ISAKA Yoji
本作品は Creative Commons Attribution-Share Alike 2.1 Japan の下で二次利用が可能です。

■ 9月:様々な場面で求められる交通まちづくりの取り組み

この写真は緑ヶ丘霊園内に今年初めて運行した「墓参バス」の様子です。 とても暑い日だったことも相まって、車内では「涼しいね」「走っててよかった」「いいねぇ」「少しでもいいから走ってほしい」といった会話が自然と生まれていました。また、降りる人が口々に「ありがとう」と声をかけている様子が印象的でした。

ここ緑ヶ丘霊園(高津区下作延・上作延、右写真2)は、JR南武線 津田山・久地両駅に隣接していますが、右写真のような丘陵地で、両端の入口は駅から近いものの最も低い所にあるため、駅から墓地へ向かう坂道を登れなくなる人が年々増え、循環バスを運行する要望が寄せられていたそうです。

そこで、霊園事務所が今年3月にアンケートを実施したところ、回答者の半数から「利用する」との反応が得られたことから、今回の試験運行につながったそうです。 この試験運行は、市政だよりに掲載されるとともに、墓地利用料の請求書に同封して案内されたようです。また、タウンニュース高津区版 9月10日号にも掲載されました。

停留所は、津田山口(霊園事務所前)、噴水広場前、霊堂前、長尾口、久地口の5箇所。ふじばすさんの観光バス2台を使い、朝9時から午後5時まで、20〜30分間隔で運行していました。全てのバス停にはベンチが置かれ、バスは全箇所で停車。運行時刻表は津田山口にのみ掲示され、他のバス停は随時バスが来るという扱いになっていましたが、視察した範囲では利用者が多く、来園者の少ない平日にもかかわらず各便10〜20人ほどずつの利用があったようです。

この試験運行は、9月21・22日の平日2日間のみの運行です。これは、お彼岸の土休日には園内に直接乗り付けようとするマイカーやその路上駐車により長い渋滞となり、バスを運行できる状況にないためだと言います。クルマで乗り付けるのは足腰が弱って駅から歩くのが困難な方かもしれませんが、だからと言ってマイカーで乗り付ける人が増えれば、最も困っている人のための送迎バスを運行できなくなり、しかも近隣にも迷惑になっています。これは墓参りに限らず、買物、通勤、行楽など毎日の生活でも同じこと。自家用車に頼った生活は、自分は良いとしても、他の誰かに迷惑をかけて初めて成り立つものなのです。

川崎市内は、臨海部や多摩川沿いの平坦地ばかりでなく、高津区・多摩区の一部、宮前区・麻生区のほぼ全域が丘陵地になっており、坂道が多い丘陵地にお住まいの高齢者を中心に、買い物など毎日の生活に必要な移動に困る人が増え、コミュニティバスに注目が集まっています。今年6月の本欄でも、麻生区コミュニティバス「山ゆり号」が3度目の試行運行をしている様子をご紹介しました。

このような乗合バスの運行で大きな課題になるのは2点、運行経費の負担と、警察による様々な規制です。前者はよく知られている課題ですが、後者の課題はあまり知られていないかもしれません。

今回の墓参バスでも、津田山口・久地口から駅までは5〜10分ほど歩くことになりますが、これは法規制により公道上にバスを運行することが困難で、手続きがとても煩雑になることから、やむなく運行を敷地内(警察の規制に引っかからない)に限定したためです。視察者も各地のコミュニティバスを視察してきましたが、どこでも、特に警察による規制の厳しさが足枷になっていました。 警察がマイカー優先の姿勢ではなく、歩行者や自転車、公共交通や送迎バスなど、生活に密着した、あるいは本当に困っている人の交通を優先する姿勢に転換する必要があるとの思いを強くします。

霊園事務所のご担当者に聞いたところ、今後の運行は未定だが、今回の試験運行で好評なことが判ったので、今後も春・秋のお彼岸の平日だけでも引き続き運行できるように検討したい、との事でした。 今回の取材に快く応じてくださった、霊園事務所、および「ふじばす」運転手や警備員の皆様には、この場を借りて御礼申し上げます。
/撮影・文:井坂

掲載期間
9月26日 〜 10月28日



(▽写真2)

(▽写真3)
Creative Commons License by-sa 2.1 Japan. © 2010 ISAKA Yoji
本作品は Creative Commons Attribution-Share Alike 2.1 Japan の下で二次利用が可能です。

□ 8月

休  載

□ 7月

休  載

■ 6月:地域が支えるコミュニティ交通

坂道が多い丘陵地にお住まいの高齢者を中心に、買い物など毎日の生活に必要な移動に困る人が増えています。そうした地域ではコミュニティバスの運行を求める声が日増しに高まっていますが、そのひとつ、川崎市麻生区高石4,5,6丁目地区でコミュニティバス「山ゆり号」の試行運行が始まりました。

6月 1日(火)から 8月31日(火)までの 3ヶ月間、小田急線の百合ヶ丘駅から、生田病院を経由して高石団地までの約3km(路線距離)を、平日のみ毎日12往復運行しています。

ここ高石地区では2006年度に最初の運行実験を行ってから今回が3回目。川崎市の現行制度では初期費用(車両費、設備費など)は全額補助が出る半面、運行費補助の制度は無いため、継続的な本格運行を行うためには運行費の全額を運賃等でで賄える目処が立つことが求められます。

また、当地区は必ずしも高齢者が多いわけではなく、社宅や新しい住宅地もあり、子育て世代なども住んでいます。駅まで概ね徒歩10〜20分程度で、坂道が苦にならない人は充分徒歩圏内。しかし写真のような地形ですから、体力が衰えたり、怪我した時、また荷物が多い買い物帰りなどには、やはりバスが欲しいところでしょうか。

このように、ひとくちにコミュニティバスといっても、地域特性から行政の支援制度、近隣商店などの協力体制に至るまで、様々な要素が関係してきますので、地域毎に異なる仕組みが必要です。一方で、共通しているのは、コミュニティバスを継続運行には地域が協力して取り組み、地域で支える必要があること。そして、こうした取り組みは丘陵地や高齢者に限ったことではなく、様々な人に関係があるということです。

なお、川崎市内では丘陵地を中心に 9箇所(当会調べ)で、コミュニティバスの導入を求める声が挙がっています。一方で、本格運行までこぎ着けたのは宮前区野川南台の1箇所のみ。マイカーに頼らない人と環境にやさしい安全・安心・快適な地域づくりの取り組みを応援している当会では、今年度、川崎の交通とまちづくりを考える会 (K-cube) さんと共同で「まちづくり・地域交通調査支援事業」の実施を計画しており、今回はその調査の一環で視察に訪れました。視察報告を掲載していますので、併せてご覧ください。 /撮影・文:井坂

掲載期間
6月06日 〜 9月26日
Creative Commons License by-sa 2.1 Japan. © 2010 ISAKA Yoji
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□ 5月

休  載

□ 4月

休  載

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