持続可能な地域交通を考える会 > files 2011 > 長尾台コミュニティバス |
|
| |
◆最新情報 ■定例会 ◆資料・情報 ◆意見・提案 ◆会概要 ■会を支援する |
<お知らせ>
このファイルは、ご利用の Web ブラウザによっては表示が乱れる場合があります。
その場合はお手数ですが PDF版 (601KB) をご覧ください。
高齢化が進む都市部の住宅地で、最寄り駅・バス停までの間の急坂が課題。廃止代替ではなく、いわゆる「買物難民」問題の対策として、従来は路線バス等が運行していなかった地域への新設路線。途中一部交差点で狭い箇所があるため、乗客定員12名(乗務員・助手席を合わせて14名)のワゴン車を採用している。
日中の買い物や通院などばかりではなく、通勤通学も対象にしている。平日の運行時間は朝6:10(長尾台地区発)から23:00(久地駅発)まで。
沿線の高齢化率(後述)は、戸建ての多い長尾6丁目が高くて 28.2%、集合住宅も多い長尾7丁目では 14.4%、両地区平均は 19.1%。全市平均は 16.3% なので、比較的高齢化している地域と言えるが、通勤している住民もいれば、事業所もある。
こうした地域での事例には国分寺市「ぶんバス」東元町ルート(一周約2.5km)など利用者の多い所もある。幅広い住民の支持を得ることができれば、継続運行につながるのではと期待される。
コミュニティバスは日中の高齢者を対象にしている事例が多いため、朝夜の通勤通学時間帯に設定される事例は少ないが、長尾台地区では通勤需要も視野に入れ、早朝から夜まで運行している。
地域内には研究所や小学校があり、その職員が100名ほど通勤しており、その需要も調査するとの事。初日から研究所へ向かう乗客の利用があった(右写真)。 今回は1ヶ月間の運行実験なので、マイカー利用者の移行は期待しづらいだろうが、通勤利用者は定期的な利用が見込めるし、エコ通勤にもつながると期待したい。
長尾台地区では、駅まで歩くには遠い距離(道なりに1.5〜2km)と、自転車利用を阻む高低差があるため、通勤では駅までマイカー送迎が多いという話が聞かれた。そうした状況があるならば、路線バスへの転換により地域環境の改善、生活の質向上も期待されよう。
この他、「あじさい寺」として知られる妙楽寺では毎年「長尾の里あじさいまつり」が開催され賑わう。また、近隣の長尾神社、五所塚第1公園、等覚院「つつじ寺」、東高根森林公園、川崎市緑化センターなどとともに「長尾の里めぐり」散策コースが設定されている。
9月30日にチラシを自治会全戸配布、バス停付近を中心にA3判ポスター貼り出し、地域内の事業所へ告知などしているとのこと。
また、沿線の商店や金融機関なども回ってポスター掲示を依頼しており、協力的な所では店前などに掲示されている。
そうした効果があってか、運行初日より毎便数名程度の利用者がいた様子。 今後、目標の1日300人(1便換算4.3人)に向けて乗客増に向けた一層の取り組みが期待される。
車両は運行実験のため一般貸切用のコミューター(送迎車)が使われており、専用塗装等されておらず目立たないのは残念だが、運行を担当する高橋商事では、車内に設置したモニタ(麻生区高石で運用されているものと同じ仕組み)による案内など工夫されている。
運行時刻はほぼパターンダイヤになっているが、登戸駅(生田緑地口)では既存路線バスのバス停を間借りしていることから、他のバスと競合しないよう一部時間をずらして設定されている。
初日より児井会長が各地を回り、乗客に案内しながら、改善点などを調査されていた。1ヶ月という短い期間だが、この期間に改善点を洗い出し、出来る事はすぐに改善していくとの事。
また、来週より車内で乗客向けにアンケートを実施するが、協議会の会員12名では人手が足りないので住民に手伝いをお願いした所、34名の応募があったという。地域の関心の高さをうかがえる。皆で支える機運が高まればと期待したい。
長尾台地区には、中央に日用雑貨を扱う高橋商店がある外に店は無く、最寄りのコンビニエンスストアは1km以上離れており、高低差もある。
久地駅付近にはスーパーや商店、金融機関があり、登戸駅付近には郵便局、スーパーや商店、金融機関がある。開業医や病院も駅近くにある。また、登戸駅行きは途中の「長尾橋」で乗降(登戸駅行きは降車のみ、長尾台方面行きは乗車のみ)できるが、これは近くのスーパーに行きたいという要望があったためという。
通勤通学を考えると久地駅まで出て南武線に乗る方が早く、日中は様々な用件に応えて2駅行きが交互に運行されるという仕組みになっている。
隣接するが区境をまたぐ宮前区五所塚1丁目、神木本町1丁目でもコミュニティバス路線の近くでは利用が期待できそうだが、需要はまだ見えていない。 また、長尾7丁目のうち路線から少し離れる地域(長尾小学校周辺)の需要も課題か。
出発式の挨拶で長尾町会長より、電動アシスト自転車が大活躍しているという話があったが、中心部は急な坂が1kmほど続き、歩く人よりクルマの方が多い状況で、マイカー利用が多いものと感じられる。
長尾台地区では、コミュニティバス導入に際し、 ●地域住民だけでなく全市民が納得できる理由を明確にする、 ●既存の路線バス網に悪影響を与えないことを明確にする、 ●技術面と経済面で持続可能なサービスを作る、 の3点に留意して取り組まれており(川崎の交通とまちづくりを考える会編『川崎市のコミュニティバス実現に向けて』2011年3月)、公共交通手段の充実によりマイカー依存を減らすことなども視野に、入念な調査を行いながら、平成25年度の本格運行を目標に取り組まれるとのこと。
長尾台コミュニティバス運行実験の結果については、12月に開催予定の第2回コミュニティバス連絡会(川崎の交通とまちづくりを考える会(K-cube)主催、持続可能な地域交通を考える会(SLTc)協力、非公開)でご報告いただく予定。参加希望の会員は予め事務局へご一報を。