第3次自転車活用推進計画(素案)」に関する意見

2026年02月06日提出
持続可能な地域交通を考える会 (SLTc)
代表 井坂 洋士
 
〒211-0004 川崎市中原区新丸子東3-1100-12
かわさき市民活動センター レターケース5
 

「自転車活用推進」の施策実現を

「第3次自転車活用推進計画(素案)」(以下、本案)の総論にも明記されている通り、自転車の利用促進は国民生活にとっても、社会全体の便益にとっても、大変有意義であり時宜を得た重要な施策と考える。

しかしながら、これまでの(1次、2次)「自転車活用推進計画」においては、実際に実行に移される施策に偏りがあったように見受けられる。

すなわち、本案概要で示されている「目標2」の取り組みが目立ち、「目標1」や「目標3」の取り組みは計画段階が多く、なかなか日の目を見ていない。勘違いしないでほしいのだが、規制的な取り組みをするなと言っているわけではない。

しかし実施される施策のバランスが悪く、名前とは裏腹に自転車利用に規制的な取り組みがばかりが目立っていたため、「推進」のはずが、旧態依然とした「自転車対策」になっていた感が否めない。

そして、自動車メーカー等からの広告宣伝費に依存して経営しているマスコミが自転車の悪い例の極端なものをいたずらに取り上げるなどして煽って助長している面も見られた。

この背景には、実施する警察や自治体担当者などに、自転車活用推進法の第2条(基本理念)が理解されていないのではなかろうか。担当者レベルで理念が共有されていなければ、旧態依然とした「自転車対策」からの脱却もまた難しいだろう。

今回は「第3次」ということだが、まずは基本に立ち返り、基本理念をしつっこいくらいに共有して、本来の自転車活用を推進するための施策が全国各地で多く実施されることを願ってやまない。

自動車の取り締まりと規制の強化を

本案を含む「自転車活用推進計画」では、自転車「対策」ばかりで、自動車対策が全くされていない。自転車には反則金を課してガシガシ取り締まるぞという態度を示しつつ、かたや「道路利用者全体の安全意識醸成」などという甘っちょろい表現では自動車利用者にナメられるばかりだろう。

実際に、道路上では違法駐車が溢れかえり、速度違反も常態化している。こうした危険行為を警察もろくに取り締まっていない。

同じ道路をシェアしている自動車の対策が欠落したままでは、【目標2】で掲げる「自転車事故のない安全で安心な社会の実現」は永遠に実現しないだろう。

まずは自動車のルール順守を徹底させ、本来自転車が走る場所である車道左側に違法駐車があったら即レッカー、速度違反は何キロオーバーまで黙認ではなくAIなども駆使して機械的に取り締まって即反則金、といった、自動車の取り締まり強化を求める。

自転車走行空間の整備方法

自転車走行空間を整備する際に、安易に「矢羽」で済ませられる例が多く見られる。もちろん「矢羽」でも無いよりはいいが、「矢羽」はその上を自動車が通行することも多く、自転車利用者にとり危険が大きい簡易的な整備方法であることに留意する必要がある。

よって、「矢羽」で整備された道路においては、混在する自動車の制限速度を下げるべきである。言い換えれば、自動車の制限速度を下げたくないのであれば、安易に「矢羽」で済まさず、広い自転車専用レーンを確保すべきである。

自転車ネットワーク計画の内容は自治体に一任されており、それ自体は良いのだが、整備方法まで自治体に丸投げするのはよろしくない。せめて指針は国が示し、例えば自動車速度制限と自転車レーン等の形態および幅などについて国が基準を示すとともに、広い自転車レーンが確保されるよう(例えば、自転車レーンの幅に応じて予算を配分するなど)誘導すべきである。

生活道路での通過交通(自動車)の抑制

新規に盛り込まれたこの方針自体は大変良いのだが、実行するには全国の警察署を動かす必要がある。

市民活動に取り組んでいる我々の現場感覚では、警察署は多くの場合、自動車をスイスイ走らせるための交通ルールの見直しは率先してするのに対し、歩行者や自転車の保護・優先のための交通ルールの変更は頑なにしない傾向がある。例えば自治体や地域団体等が警察に対し速度制限の強化(低速化)、一方通行、「止まれ」の変更などを求めても応じず、「関係者全員の同意書を持ってこい」だとか「県知事が言ったって俺はやらねえ」といった態度を取る担当者すら見られた。

もちろん、中には理解があって協力的な警察官の方もおられるのだが、実際の現場を見ると困難を抱えている。

このように警察の現場意識の乖離が大きい状況では計画を進めるのに障害になると考えられる。警察官にも自転車活用推進法の基本理念を周知し、または警察署の権限を縮小するといった制度改正を求める。

自動車から自転車への転換促進

本案では新規に「デコ活」が盛り込まれている。これは環境省案件と思われるが、環境省以外は何もしないということではいただけない。

国交省管轄でも道路面積の再配分など、できることがある。警察でも交通規制や信号現示の変更など、できることがある。国交省と警察でも、自動車ではなく歩行者と自転車が優先される仕組みをつくる施策を求める。

地域公共交通計画との連携

今回新規に設けられたが、地方自治体では自転車は建設系部署が所管していることが多いのに対し、公共交通は異なる部署が所管していることも多い。

国では自転車活用も公共交通も国交省が主管だが、旧建設系と旧運輸系といった違いが残っているかもしれない。また、日本では公共交通を株式会社が運営していることが多く、行政と交通事業者との連携がうまくいかない課題もある。

この連携がされていない、またはうまくいっていない事例を少なからず見ているので、地方自治体に丸投げせず国の主体的な取り組みに期待するとともに、運輸局から交通事業者に誘導策を出す、地方自治体において自転車と公共交通の連携強化する取り組みを実施する際に補助を出すといった取り組みを求めたい。

原則として自転車横断帯を撤去すること

警察庁通達 2023年 129号 (6) 不要な自転車横断帯の撤去) 自転車は交差点を通行しようとする場合において、車道又は歩道のいずれを通行していても、交差点又はその付近に自転車横断帯があるときは、その自転車横断帯を進行しなければならず、場合によっては車道を通行する自転車に不自然かつ不合理な横断を強いることとなり得ることから、(中略)自転車が安全かつ円滑に自転車横断帯を進行することが想定される場合を除き、原則として自転車横断帯を撤去すること。

これが実施されていないどころか、あまつさえ警察官が待ち構えて積極的に捕まえ「青切符」(反則金)を課している事例すらあるようだ。横断歩道の自転車横断帯やそれに付随する「歩行者自転車」信号機などの不適切な交通規制はすぐに撤廃するよう求める。

自転車防犯登録制度について

我々が相談を受けた実例だが、自転車店に回収に出した後の自転車が(回収した販売店で)盗難に遭い、警察から以前の持ち主に返還される事例があったようだ。

回収した自転車店で名義の書き換えをしていない、または書き換えても警察に反映されるまでに時間がかかることが原因と考えられるが、警察の運用のまずさ(回収に出した後で盗まれたものだと説明したにもかかわらず、防犯登録上はおまえの名義になっているから回収に来いと言われたそうだ)もあるが、防犯登録制度が形骸化している側面もありそうだ。

各都道府県警察で管理している防犯登録を全国化するとともに、自転車店や自治体(いわゆる「粗大ごみ」)等で回収された自転車は即座に防犯登録を抹消する、マイナンバーカードを使った場合には即座に名義変更を行うなど、運用の改善が必要と考える。

以上

ご案内

本意見書は、本会Webサイトにも掲載しています。
http://sltc.jp/file/2026/02/20260206mlit_bicycle.html


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