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 川崎市まちづくり局計画部交通計画課 御中 

「川崎市建築物における駐車施設の附置等に関する条例の改正素案」に関する意見書

持続可能な地域交通を考える会 (SLTc)
2009年 6月09日  

川崎市におかれましては、地域交通の安全・安心や環境対策に精力的に取り組んでいただき、ありがとうございます。 この度は、掲題の意見募集を受けて本会定例会および連絡網の中で検討を行った結果、取りまとめた意見を下記のとおり申し上げます。

「駐車需要に応じた附置義務台数の特例」の新設に賛成する

市環境基本条例にもあるように、公害や地球温暖化などの環境問題、交通事故防止などの観点から、これらの主因になっている自動車の利用は極力減らすことが市民共通の課題として急務になっている。

ところが、従来の規則によると、これまで商店街や立地条件(駅前など)、地域特性などにより、徒歩・自転車・公共交通利用による来場者がほとんどである施設においても、建て替えや増床などに伴い附置義務が生じ、または台数が増加する場合があったが、これが本来発生していなかったマイカー利用を誘発し、上記の社会的要請に反する事態を引き起こしていた。

こうした事態を防ぐために、今回新設される「駐車需要に応じた附置義務台数の特例」は大変有意義なものであり、この特例の新設に賛成するとともに、速やかな実施を求める。

また、施設の来客にマイカーでの来場を控え、他の交通手段による来場方法を案内している(または今後実施する)場合についても、本特例が適用になるよう求める

附置駐車場においては利用者から料金を徴収しやすくする(有料を原則にする)こと

様々な調査・研究・事例等から、駐車場の供給増加や利用料低下が需要を誘発する(逆に、駐車場の削減や利用料上昇がマイカー利用を抑制する)ことが明らかになっている。つまり、環境負荷低減や道路交通の安全対策が急務になっている昨今、駐車場の供給抑制や利用料の引き上げが有効である。

ところが、本条例の附置義務に応じて設けられた駐車場では大抵で無料サービスが行われており、その結果、現状ではこれと逆の事態が起きている。たとえば路線バスや電車で買い物に訪れた客は運賃を別途支払う一方で、マイカー利用者は駐車場の無料サービスで優遇される。この駐車場の運営には整理員の配置や設備なども含めて高い経費がかかるのが通例であり、小売店の利用者同士で比較するとマイカー利用者が過度に優遇されることとなる。さらには、自転車での来客には市営有料駐輪場へ誘導し、マイカーでの来客には無料サービスを実施するような事例まで散見される。これらはいずれも環境負荷軽減を求める社会的要請に反する上、自動車を駐車させる者に対し不当な優遇を行っているものである。

このような事態を避けるため、附置駐車場の施設管理者等が利用者に対し応分の費用負担を求めやすい制度および指導を実施するよう求める。

非特定用途(共同住宅等)の附置義務を撤廃すること

自家用乗用車については車庫証明の取得が義務づけられており、非特定用途(共同住宅等)への附置義務は違法駐車対策に寄与しない上、むしろ駐車場の供給をいたずらに増やし、前述のようなマイカー利用の誘発を引き起こすとともに、アスファルト舗装面の増加はヒートアイランド対策にも逆行するものである(川崎市域はヒートアイランド化が県内でも極めて顕著な地域である)。 このような弊害ばかりが目立つ非特定用途(共同住宅等)の附置義務は撤廃することを求める。 (なお、駐車場法第5章の規定は任意規定であり、その判断は地方自治体に委ねられている。)

一方、マイカーに比べてはるかに安全で環境にもやさしい交通手段である自転車の利用環境を整え、いわゆる放置自転車の問題を解消するためにも、自転車駐輪場の附置義務を設けることを求める。

「荷捌き車に対する附置義務」において自動車以外による配送方法に配慮すること

今回新設される「荷捌き車に対する附置義務」は有意義であると考えるが、今般、環境対策などに効果的な台車や自転車などによる配送が見直されていることを踏まえ、これらの円滑な利用を進めるためにも、荷捌き駐車施設の設置に際して自動車以外による配送方法に配慮することを求める。

以 上  
持続可能な地域交通を考える会 http://sltc.jp/
 代表 井坂 洋士
 
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[E-mail] query@sltc.jp

※本意見書は当会ホームページでもご覧いただけます: http://sltc.jp/file/2009/200906fuchi.html