内閣総理大臣 麻生 太郎 殿
国土交通大臣 金子 一義 殿 環 境 大臣 斉藤 鉄夫 殿 経済産業大臣 二階 俊博 殿 |
2008年10月31日 | 賛同者一同 |
高速道路料金の大幅引き下げの差し止めを求める緊急共同声明
本年10月30日に政府が発表した『生活対策』に盛り込まれた「高速道路料金の大幅引き下げ」について、下記の理由からその正当性がないものであるとともに、環境汚染などの不公正を助長し、しかも私たち現役世代およびその子孫に大きな禍根を残すものであることから、その差し止めを求める。
本件「対策」は「生活対策」にはならず、目的を果たさない。
「生活対策」としているが、土休日の乗用車に限った適用であることから、不要不急の「マイカー」利用を誘発する以外の効果は想定しにくく、生活に困る人を助ける効果を期待できないばかりか、自動車交通量の増加により道路上の危険性が増し、交通事故の増加など生活不安を助長するおそれすらある。また、公共交通機関から「マイカー」への乗り換えを誘発した場合、石油消費量を増加させ、結果として所得の海外流失も懸念される。
より多くの環境汚染を引き起こす者が優遇される制度となり、環境保全に逆行する。
自動車は様々な環境汚染物質を排出し、その利用は大気汚染公害、酸性雨による土壌汚染や気候変動(地球温暖化)などの一因になるものだが、それを抑制するためには、環境負荷の大きな交通手段の利用を抑制し、環境負荷の小さな交通手段を選択する人が報われる経済社会をつくるべきである。本件「対策」はこれと全く逆の効果をもたらし、持続可能な低炭素社会の実現を求める社会的要請に反するものである。
市場原理に反し、不公正な競争を助長する。
鉄道、高速道路ともに民間事業者が営業しているものだが、本件「対策」は鉄道事業者等を著しく不利に、高速道路会社等を著しく有利にするよう働くものであり、政府が尊重しているはずの市場原理に反することになる。また、ただでさえ環境汚染等の負担を免れている自動車の利用を一層有利にし、旅客交通手段間の競争の不公正を助長することにもなる。
受益者が一部の「マイカー」利用者等に限られ、公平性を損なう。
投入される多額の税金等の受益者が一部の「マイカー」利用者等に限られ、その一部の者のみが優遇されるべき何らの正当性も存在しない上、負担は現役世代および将来世代の全国民にかかるものであり、公平性を著しく損ない不当である。
以 上